MobiHoc 2004 May 24-26, 2004 Tokyo, Japan sigmobileAssociation forComputing Machinery
The Fifth ACM International Symposium on Mobile Ad Hoc Networking and Computing

Program

TUTORIALS

T 5

14:00-18:00

タイトル:

MANET概要 -経路制御からハードウェアまで

講師:

湧川 隆次
慶應義塾大学大学院政策メディア研究科 特別研究助手

小久保 優
株式会社日立製作所 中央研究所 通信デバイス研究部

チュートリアル概要:

本チュートリアルでは、MANETに関する研究の、現状把握を目指す。現在IETFのMANETワーキンググループで標準化が行われている、 経路制御プロトコル(AODV,OLSR, TBRPF, DSR) を中心に、MANETのための経路制御プロトコルの解説を行う。
また、アドレス管理や、インターネット接続などの周辺技術の紹介も行う。さらに、センサーなどを考慮した、電力管理、無線技術(アンテナ、802.11など)の解説を行う。 本チュートリアルは、IPの知識のみを前提としており、MANETの知識は問わない。

MANETの分野に興味がある研究者が、MobiHoc 2004に参加するための前知識を得るのに適している。

日本語で行われる。

前半部:ネットワーク

本チュートリアルでは、アドホックネットワークの目的、特徴および技術的な問題点を説明する。 具体には、経路制御技術、アドレス等の自動設定、インターネット接続、そしてIPv6等のネットワーク層の問題に着目して解説を行う。 アドホックネットワークの経路制御プロトコルは、reactiveとproactiveの主に2種類に分類されるが、 想定される移動シナリオ、トラフィックシナリオ、ノード数に応じた様々な経路制御技術が提案されいる。 そこで、本チュートリアルでは、IETFで標準化が行われているAODV, DSR, OLSR, TBRPFを中心にプロトコルの解説を行う。

また、同時にフラッディング技術,経路発見の効率化のための位置情報等を用いた技術についての解説も行う。 自動設定に関して、IPアドレス取得や名前解決に関して解説する。 IPアドレスの重複問題や複数アドホックネットワークの合流時に置ける問題点を解説し、提案されている主だった解決案を紹介する。 インターネット接続技術としては、現在IETFで議論が行われている、OSPFの拡張を用いた技術とインターネットゲートウェイを用いた2種類の手法に付いて説明を行う。 最後に,IPv4とIPv6の違いを解説し、IPv6を用いたアドホックネットワークを考慮する上での問題点を紹介する。

後半部: ハードウェア

本チュートリアルではモバイル通信を実現するための具体的なハードウェアに焦点をあてた技術解説を行う。 まず、無線技術として一般的な通信を実現するための無線トランシーバの構成について解説を行い、 それぞれの構成要素の持つ機能や要求される性能に対する理解を図る。

次に、現在、アドホック通信によく利用されている無線LAN (IEEE802.11系やBluetooth)を例として、 トランシーバ方式、変復調方式、アンテナ技術など、それぞれの利用目的にあったハードウェア構成の特長を説明するとともに、 微細なプロセスの集積回路を適用することによる無線部の小型化の流れを説明する。

最後に、近年、新しい無線応用として注目されている超小型無線ノードを用いたセンサネットの特長と具体的なバードウェア構成、 および、それを実現するための主要技術としてのセンサー、マイクロノード、電力管理などに関する技術を解説する。

期待される参加者:

本チュートリアルは、MANETに関して、経路制御からハードウェアまで幅広く扱う。 研究員、技術者、学生に関わらず、MANETに興味ある方々、全てが対象である。 事前知識として、最低限のネットワークに対する知識を期待するが、扱う対象が幅広いためMANET分野に対して関心があればどなたでも参加が可能である。 現状のMANETに関する研究トピックス、標準化状況、ハードウェアの研究および製品動向、MANETを用いたアプリケーション等に関して、最新情報を提供する。 現在、MANETの研究を行われている人々にとっては容易に理解できる内容ではあるが、MANETに関するハードからネットワークまでの動向を理解できるという利点がある。 また、MANETの前知識が無い方でも、本チュートリアルに参加することで、Mobihocに参加する上での、事前知識を得ることが可能である。

講師略歴:

湧川 隆次
2003年度、慶應義塾大学より政策メディア研究科博士号を取得し、
2004年度、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科で特別研究助手に着任し現在に至る。 研究分野は、移動体通信技術全般に渡り、現在はMobileIPv6やNetwork Mobilityの移動透過性技術やIPv6 を用いたアドホックネットワーク技術を中心に研究活動を行っている。 これまで、Internet Engineering Task Force(IETF)で移動体通信技術の標準化活動に参加しており、MANET Working Groupを含めて標準化案を提出し議論を行っている。 WIDEプロジェクトメンバとしてWIDE InternetCARプロジェクトおよびInternet ITSプロジェクトを中心に研究活動を行っている。

小久保 優
1981年千葉大学を卒業し、同年より、(株)日立製作所に勤務し、 現在、同社中央研究所ソリューションIC研究センタ通信デバイス研究部主任研究員として通信用デバイスの研究開発を行っている。 研究分野はアナログ・デジタル混載集積回路と無線通信用高周波アナログ集積回路である。 PLLやアナログ回路技術、および、無線通信方式に関して研究を行っており、特に、音声用コーデックに用いるオーバーサンプルAD、DA変換器やデジタル加入者線伝送用IC、 および、近距離無線アクセス(Personal Area Network: PAN)用無線トランシーバとしてのBluetoothやセンサネット用無線集積回路の研究を行っている。

現在、電子情報通信学会回路とシステム研究専門委員とIEEE Circuits andSystems Society のJapan チャプタ [CAS-04]のSecretaryとISSCC2005ワイアレスサブコミッティーの委員を勤めている。

 

Last modified 16-April-2004